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グラン・トリノ

某日、埼玉にある日本最大級を誇るイオン内で旧知の人と映画鑑賞。タイトルは『グラン・トリノ』。

公開初日で、土曜最終上映の時間でしたがほぼ満員の盛況でした。
週刊文春「シネマ・チャート」誌上で審査員5人中4人が、満点の☆☆☆☆☆。
監督、主演はクリント・イーストウッドだし、まずハズレはないだろうと
同行者と意見が一致する。

妻に先立たれ晩年を迎えた男を主人公に、隣に引っ越してきた
アジア系移民であるひとりの少年との心の交流が丁寧に描かれます。
イーストウッド演じる主役は、戦争体験の過去を持つ元自動車工。
従軍中に人を殺(あや)めており、罪の意識に苛まれています。偏屈で気難しい彼。
生きる意味に迷い、大切にしているのはGRAN TORINO。一台の車だけ。
対して少年の人生はまさにこれから。まっすぐな感受性を保ち、気弱ながら心に真っ白な地図を持っています。

混迷する現在のアメリカの縮図が小さな町を舞台に続々と描かれます。人種・宗教の溝、経済不況、戦争の傷、銃社会の弊害・・・。

映画は大詰めのところで、人間関係が決定的に崩れます。
言葉も違う、民族の歴史も違う、肌の色も考え方も、出自も、ここに今いる理由も。
人の気持ちや考えはわからない、理解し得ないものだという事実を突きつけられます。
そして争いが起こる、という古来から繰り返されてきたヒトという動物の歴史。

ここにイーストウッドは、神父(神)までも登場させ、救いのない時代にひとつの答えを用意しました。
解釈は、映画を観た人それぞれに委ねたいと思います。

ラストシーンで海辺を流れる音楽は、心地よくも無常を感じさせました。
エンドロールまで観て席を立つ瞬間、隣の50過ぎと思われるおじさんがぽそっと囁きました。

「うん、いい映画だった」

(教育推進部.W)

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